健康な食事に気を付けているのに、なぜか肌が良くならない――実は「調理法」に差があった

健康を意識して、野菜もタンパク質もバランスよく摂るようにしている。それなのに、肌の調子はいまひとつ上がらない気がする――そんな感覚はありませんか?当ブログでもこれまで、老け顔や乾燥、パサつきといった悩みの背景に「タンパク質不足」があるかもしれない、という話を何度か取り上げてきました。もちろんタンパク質の量を確保することは大切です。ただ、それだけを意識していても肌の調子が上がらないと感じる場合、実は見落とされがちな、もうひとつの原因が関わっているかもしれません。

ちゃんと食べているのに老ける?――カギは「量」より「焦げ」

タンパク質は十分に摂れているつもりなのに、なぜか肌がくすんで見えたり、ハリが戻らなかったりする。そんなときに疑ってみたいのが、「糖化」と呼ばれる現象です。糖化とは、体内の余分な糖分がタンパク質と結びつき、「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれる物質を作り出す反応のことです。この反応は、食品を高温で加熱したときに起こる「メイラード反応」と同じ仕組みで、いわば体の中で起きる”焦げ”のようなものです。せっかく摂取したタンパク質も、糖化によって劣化してしまえば、肌の材料としてうまく使われにくくなってしまう可能性があります。

糖化したタンパク質が、肌に何を起こすのか

肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンは、体の中でも入れ替わりが遅く、長期間そのままの形で存在し続けるタンパク質です。そのため、糖化の影響を受けやすいという特徴があります。AGEsはコラーゲン同士を本来ない場所で結びつける「架橋」を作り、組織を硬くしてしまいます。さらにAGEsそのものが褐色をしているため、蓄積が進むと肌が黄色っぽくくすんで見える「黄ぐすみ」の原因にもなるとされています。紫外線によるダメージ(光老化)とは別に、体の内側で静かに進む老化として、近年注目されている仕組みです。

同じ食材でも、調理法でAGEsの量は大きく変わります

ここに、意外性のあるポイントがあります。AGEsは食品そのものだけでなく、「どう調理したか」によっても量が大きく変わるのです。水を使う加熱(茹でる・蒸す・煮る)は温度が100℃までにとどまるため、AGEsの生成はゆるやかです。一方、油や直火を使う加熱(揚げる・焼く)は150〜250℃という高温に達するため、メイラード反応が一気に進みます。実際、同じ鶏肉でも、直火で焼いた焼き鳥は、水炊きのように煮込んだ場合と比べて、AGEs量が5〜10倍にもなるという報告があります。「何を食べるか」だけでなく、「どう火を通すか」も、肌の材料の質を左右している可能性があるのです。

見た目の老け方にも関係しているかもしれません

AGEsの蓄積量は、皮膚に光を当てて自家蛍光を測定する専用の機器で、非侵襲的に調べることができます。終末糖化産物の研究で知られる昭和大学医学部の山岸昌一教授は、体内にAGEsが多く蓄積している人ほど、見た目も老けて見られやすい傾向があると報告しています。ただし、見た目の老化には紫外線や睡眠、遺伝、ホルモンバランスなど、糖化以外にも多くの要因が関わっています。「AGEsが多い=必ず老けて見える」と単純に決めつけられるものではなく、あくまで関連する要因のひとつとして捉えておくのがよさそうです。

糖化は「焦げ」だけでなく「炎症」も呼び込みます

AGEsの影響は、コラーゲンを硬くするだけにとどまりません。AGEsが細胞の表面にある受容体(RAGE)と結びつくと、細胞の中で酸化ストレスや炎症反応が連鎖的に引き起こされることがわかっています。つまり糖化は、それ単体で完結するものではなく、体内の酸化(いわゆる”サビ”)とも影響し合いながら、肌のダメージを重ねていく可能性があるということです。揚げ物や焼き物を好んで食べる習慣に加えて、強い紫外線を浴び続けている場合、糖化と酸化の両方が重なりやすい状態になっているかもしれません。

ネットでよく見かける疑問です:「揚げ物や焼き肉は絶対にやめるべき?」

完全にやめる必要はありません。大切なのは頻度とバランスです。また、肉や魚を高温で調理する前に、酢やレモン汁、ワインなどの酸性の調味液に漬け込んでおくと、AGEsの生成量を抑えられるという報告もあります。から揚げや焼き肉を楽しむ日があってもかまいませんが、日々の食事全体では、茹でる・蒸す・煮るといった調理法も組み合わせていくのが現実的な工夫といえそうです。

今日からできる工夫

・主菜のうち、週に何回かは茹でる・蒸す・煮るといった調理法を選んでみる
・肉や魚を焼く・揚げる前に、酢やレモン汁、ワインなどに軽く漬け込んでおく
・照り焼きや甘辛だれなど、糖分と高温調理が重なる味付けを毎日には重ねすぎない
・タンパク質の「量」を確保する意識はこれまで通り続ける(糖化対策は量を減らす理由にはなりません)
・紫外線対策や十分な睡眠など、これまでの基本的なケアも並行して続ける
・野菜や海藻、きのこ類など食物繊維の多い食品を先に食べ、血糖値の急上昇を緩やかにする

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まとめ

肌の調子が上がらない原因は、タンパク質の「量」だけでなく、糖化による「質」の劣化にもあるかもしれません。同じ食材でも、揚げる・焼くといった高温調理と、茹でる・蒸すといった調理法とでは、AGEsの量が大きく変わります。特別な食材を用意する必要はなく、いつもの料理の調理法を少し見直すだけでできる工夫です。健康的な食事を心がけているつもりなのに肌の変化を感じにくいという方は、一度「調理法」に目を向けてみてはいかがでしょうか。

出典:竹内内科小児科医院「AGEs(終末糖化産物)と老化・病気の関係」、東洋経済オンライン「「ステーキ」や「からあげ」で老化が進む納得の理由 調理方法で「体内のコゲ」の増え方が変わる」、AGE測定推進協会「山岸昌一先生インタビュー 最新のAGE研究」