
部活を頑張っているお子さんの食事に、レバーや赤身肉を意識して取り入れているのに、なぜか顔色が悪い、記録が伸びない――そんな経験はありませんか?実はスポーツをする子供の貧血には、食事の内容だけでは説明できない、意外な原因が関わっていることがあります。
「スポーツ貧血」には、実は3種類あります
スポーツをする人に多く見られる貧血は「スポーツ貧血」と呼ばれ、実は原因によって3つのタイプに分けられます。ひとつは食事からの鉄摂取不足や発汗による鉄の喪失が原因の「鉄欠乏性貧血」。もうひとつは、後述する「溶血性貧血」。そして、運動によって体内の水分量が一時的に増え、血液が薄まって見かけ上貧血のように見える「希釈性貧血」です。希釈性貧血は特別な対策が必要ないとされていますが、残りの2つはそれぞれ異なるアプローチが必要になります。
意外な原因(1):足の裏への衝撃で赤血球が壊れる
マラソンやバスケットボール、バレーボールなど、足の裏に繰り返し強い衝撃が加わる競技では、「溶血性貧血」が起こることがあります。足の裏を流れる血液中の赤血球が、地面からの衝撃によって物理的に破壊されてしまうことが原因です。これは、鉄分をどれだけしっかり食事から摂っていても防ぎきれない種類の貧血で、「食事が足りないから」という単純な話ではありません。
意外な原因(2):運動そのものが鉄の吸収を一時的に妨げる
さらに近年の研究では、激しい運動をすると、肝臓から「ヘプシジン」というホルモンが放出され、その働きによって鉄の吸収が数時間にわたって抑制されることがわかってきました。つまり、運動直後は一時的に体が鉄を吸収しにくい状態になっている可能性がある、ということです。「しっかり食べさせているのに、なぜか貧血気味」という状況の背景には、こうした体の仕組みが関わっていることがあります。
決めつけは禁物です
記録が伸びない、疲れやすいといった様子は、貧血以外にも、練習量の多さによるオーバートレーニング、睡眠不足、成長期特有の体調の波など、さまざまな原因で起こり得ます。「調子が悪い=貧血」と自己判断で決めつけず、気になる場合は血液検査を受けることをおすすめします。ヘモグロビン値だけでなく、フェリチン値まで確認してもらうと、より正確な状態がわかります。
鉄剤注射は安易に選ばないでください
「早く調子を戻したいから」と、鉄剤の注射を安易に希望するケースもあるようですが、これはおすすめできません。鉄剤注射は投与量が多くなりがちで、鉄が肝臓や心臓など体内の臓器に過剰に蓄積し、機能障害を引き起こすことがあります。体調不良やパフォーマンスの低下を理由に自己判断で鉄剤注射を受けることは避け、まずは医師の診断のもと、飲み薬での治療を基本に考えてください。
家庭でできること
運動量の多い子供は、発汗によっても鉄が失われます。1時間に2〜3リットル発汗するような激しい運動では、鉄も1〜2mg失われることがあるといわれています。レバーや赤身肉、あさり、しじみなどのヘム鉄を意識した食事に加え、ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせることで、吸収をサポートできます。運動直後よりも、少し時間を空けた食事のタイミングを意識してみるのもひとつの工夫です。
見落とされがちな「お母さん自身」の鉄分
お子さんの部活の送迎やサポートに追われていると、自分自身の食事は後回しになりがちです。月経のある女性の鉄の推奨量は10.0〜10.5mgと、決して低い数字ではありません。子供のコンディション管理に気を配るあまり、気づけば自分の鉄分摂取が不足していた、というのはよくある話です。
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まとめ
スポーツをする子供の貧血は、食事の工夫だけでは防ぎきれない場合があります。足の裏への衝撃による溶血や、運動後のホルモンの働きによる吸収抑制など、体の仕組みそのものが関わっていることも。気になる様子が続く場合は自己判断せず、血液検査を受けることをおすすめします。
出典:社会福祉法人恩賜財団済生会「目いっぱい運動を楽しむために スポーツ貧血の知識」、城西大学薬学部「スポーツ貧血って、ご存知ですか?」、大正製薬「大正健康ナビ ランナー貧血って?」、athtrition「スポーツ性貧血とは?症状・原因と食事での対策方法」

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