
毎日のお弁当作り、それだけで精一杯で、栄養バランスまで考える余裕がない――そんな方も多いのではないでしょうか。実は、おかずの中身を変えなくても、ちょっとした工夫で鉄分量を底上げできる方法があります。それが「調理器具」です。
実は、同じおかずでも鉄分量が変わります
鉄製のフライパンや鍋で調理すると、調理器具の表面から微量の鉄が食材へ溶け出すことがわかっています。1986年に発表された研究では、鉄のフライパンで調理した食品の90%で、非鉄製の器具と比べて鉄含有量が有意に上昇したと報告されています。具体例として、リンゴソースを鉄のフライパンで煮た場合、鉄分は約0.35mgから7.3mgへ、卵料理では1.49mgから4.76mgへ増加したという報告もあります。同じ材料、同じレシピでも、使う調理器具によって鉄分量が変わる、というのは意外と知られていない事実です。
ただし、過信は禁物です
どんな料理でも同じように鉄分が増えるわけではありません。水分が多く、酸味のある食材ほど鉄の溶出量は多くなる傾向があり、酢・ケチャップ・食塩の順に溶出を助けるとされています。逆に、油を多く使う料理では鉄分が溶け出しにくくなります。また、ステンレス製やアルミ製の調理器具では、この効果はほとんど期待できません。鉄分補給を狙うなら、鋳鉄(キャストアイアン)や鍛鉄(カーボンスチール)の鉄製調理器具を選ぶ必要があります。あくまで「底上げ」のひとつの方法であり、これだけで鉄分不足がすべて解消するわけではない、という点は押さえておいてください。
お弁当おかずで実践しやすい例
お弁当のおかずの中でも、次のようなものは鉄鍋・鉄フライパンとの相性が良いとされています。
・酢の物、南蛮漬けなど酢を使ったおかず
・トマト煮込み、ケチャップ味の炒め物
・卵焼き、オムレツ
・きんぴらごぼうなど、じっくり炒め煮する料理
普段作っているおかずのフライパンを鉄製に変えるだけなので、レシピや品数を増やす必要がなく、忙しい朝でも取り入れやすい工夫です。ちなみに、こうして鉄鍋や鉄フライパンから摂れる鉄分は「非ヘム鉄」に分類され、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」に比べると吸収率はやや低めですが、ビタミンCや動物性たんぱく質と組み合わせることで吸収率を高めることができます。
摂りすぎの心配は、ほぼありません
「鉄分が溶け出す」と聞くと摂りすぎが心配になるかもしれませんが、調理中に鉄鍋・鉄フライパンから溶け出す鉄分の量は、1日の耐容上限量をはるかに下回るとされています。ただし、調理後に長時間そのまま鉄製の器具に料理を入れっぱなしにすると、鉄分が過剰に溶け出すことがあるため、調理が終わったら別の容器に移しておくと安心です。
傷みにくく、用意しやすい鉄分系おかず
お弁当は傷みにくさも大切なポイントです。ひじきの煮物、ツナを使った炒め物、卵焼きにほうれん草を混ぜ込んだものなどは、鉄分を含みつつ作り置きもしやすいおかずです。週末にまとめて作って冷凍しておくと、忙しい平日の朝も楽になります。
見落とされがちな「お母さん自身」の鉄分
お子さんのお弁当作りに気を配っていると、自分自身の食事は後回しになりがちです。月経のある女性の鉄の推奨量は10.0〜10.5mgと、決して低い数字ではありません。子供のお弁当に鉄フライパンを活用しつつ、自分の分の食事にも同じ工夫を取り入れてみてください。
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まとめ
お弁当作りに鉄製のフライパンや鍋を取り入れるだけで、レシピや手間を増やさずに鉄分を底上げできます。過信は禁物ですが、酢の物や卵焼きなど、普段のおかずに気軽に取り入れられる工夫です。子供のお弁当だけでなく、お母さん自身の食事にもぜひ活用してみてください。
出典:内科総合クリニック人形町「鉄分不足を解消する料理のコツ」、製鉄企業ブログ「鉄フライパンの鉄分補給量はどれくらい?」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
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