「最近、集中力が続かない」「以前より仕事や勉強の効率が落ちた気がする」――そう感じたとき、多くの人はストレスや睡眠不足を疑います。もちろんそれらも大きな要因ですが、見落とされがちな原因の一つに「鉄分不足」があります。今回は、鉄分と集中力・認知機能の関係について、研究データを基に整理します。
鉄は「脳」にも必要なミネラルである
鉄分は血液中で酸素を運ぶ役割がよく知られていますが、実は脳の働きにも深く関わっています。脳内では、鉄が神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)がつくられる過程の補酵素として機能しており、鉄が不足すると、この合成プロセスにも影響が及ぶと考えられています。東京都神経科学総合研究所の報告では、鉄欠乏によって脳内のGABAやグルタミン酸といった神経伝達物質の濃度が低下することが、動物実験で確認されています。
「貧血になる前」から、認知機能は低下している
ここで重要なのが、鉄欠乏の影響は「貧血と診断されるレベル」に達する前から始まっているという点です。18〜35歳の女性113名を対象に行われた研究では、鉄の充足度によって3グループに分け、注意力・記憶力・学習力といった認知機能をテストで比較しました。その結果、鉄が不足しているグループは、鉄が足りているグループよりもテストの回答に時間がかかり、鉄欠乏性貧血のグループでは3項目すべてでスコアが低下していました。その後、16週間の鉄補充を行うと、血液中のフェリチン(貯蔵鉄)の回復とともに、認知機能にも改善がみられたと報告されています。

つまり、「血液検査で貧血と言われたことはないから大丈夫」という判断だけでは、実は不十分な場合があるということです。貧血の手前の「潜在性鉄欠乏」の状態でも、集中力や学習効率に影響が出ている可能性があります。
思春期の学業成績にも表れる関係
日本内科学会雑誌に掲載された報告では、思春期の鉄欠乏性貧血が、言語機能・視覚認知・空間記憶・選択的注意・実行機能課題など、学習や学業に直結する多くの領域に影響を及ぼす可能性が指摘されています。成長期は、体の発育に伴って鉄の需要そのものが増える時期でもあり、月経が始まった女子生徒では、その傾向がより顕著になります。「勉強に集中できない」「以前よりケアレスミスが増えた」といった変化が、実は鉄欠乏のサインだったというケースは、決して珍しくありません。
大人の「なんとなく集中できない」にも当てはまるか
ここまでの研究の多くは、成長期や女性を対象にしたものですが、鉄が脳のエネルギー代謝や神経伝達物質の合成に関わる基本的な仕組みは、年齢や性別によって大きく変わるものではありません。特に月経のある女性は、成人になっても定期的に鉄を失い続けるため、忙しい毎日の中で「なんとなく集中力が続かない」という感覚が、実は鉄分不足からきている可能性は十分に考えられます。断定はできませんが、他の原因(睡眠・ストレス・眼精疲労など)に心当たりがない場合は、一度、食事内容を見直してみる価値はあると思います。
エゾシカ肉という選択肢
以前の記事でご紹介したとおり、エゾシカ肉は100gあたり3.4mgの鉄分を含み、牛肉(2.7mg)より多く、しかも低脂質です。肉に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれ、吸収率が10〜20%と、植物性の非ヘム鉄(4〜6%)よりも効率的に体に取り込まれます。「集中力を保ちたいから、今日の食事に鉄分を少し多めに」――そんな時の選択肢の一つとして、エゾシカ肉を知っていただけたらと思っています。
食事に加えて、サプリメントという選択肢
忙しくて毎日の食事だけでは鉄分が足りないと感じる場合、サプリメントで補うのも一つの方法です。ヘム鉄をそのまま補給できるタイプとして、270粒で約3ヶ月分と、まとめて続けやすいものもあります。
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まとめ
集中力の低下は、気合いや根性だけの問題ではなく、栄養状態のサインである場合があります。特に月経のある女性は、意識していなくても鉄を失い続けているため、「なんとなく調子が上がらない」時こそ、食事内容を振り返るきっかけにしてみてください。エゾシカ肉のようなヘム鉄を含む食材を日々の食事に取り入れることは、その一つの選択肢になります。
出典:東京都神経科学総合研究所「鉄と脳神経機能」微量栄養素研究第18集、日本内科学会雑誌第99巻第6号「小児と思春期の鉄欠乏性貧血」、ILS株式会社 機能性食品研究データ
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