妊娠を考える女性が今から鉄分を意識すべき理由

「妊娠が分かってから栄養に気をつければいい」——そう思っている方は多いかもしれません。しかし鉄分に関しては、妊娠が分かる前、つまり「妊娠を考え始めた今」から意識しておく方がいい、という理由があります。今回は、妊娠期の鉄欠乏について、世界的なデータも交えて整理します。

世界の妊婦の40%以上が貧血という現実

国際的な研究データでは、世界の妊婦の40%以上が貧血を抱えていると報告されています。地域差も大きく、欧米では17〜31%、東南アジアでは44〜53%、アフリカでは53〜61%の妊婦が貧血とされています。日本を含む高所得国でも、妊娠可能年齢の女性の鉄欠乏は決して珍しいことではなく、ある推計では妊娠可能年齢の女性の20%が鉄欠乏を経験するとされています。

なぜ「妊娠が分かる前」から鉄分が大事なのか

妊娠中は、胎児の成長や血液量の増加に伴い、鉄分の必要量が大きく増えます。もともと鉄分が不足した状態で妊娠すると、体内の鉄分の貯蔵量(フェリチン)を使い切ってから不足に気づくことになり、対応が後手に回りやすくなります。逆に、妊娠を考え始めた段階から鉄分を意識しておけば、体内に一定の貯蔵量を保った状態で妊娠期を迎えられます。これは、多くの産婦人科領域の情報発信でも共通して指摘されている考え方です。

月経のある女性は、そもそも鉄が不足しやすい

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、月経のある女性(15〜49歳)の鉄の推奨摂取量は10.5mg/日とされ、月経のない場合や男性より多く設定されています。日々の食事だけでこの量を安定して摂り続けるのは、忙しい生活の中では簡単ではありません。「妊娠してから頑張る」のではなく、「今の食生活を少し見直す」ことの積み重ねが、結果的に妊娠期の負担を減らすことにつながります。

ヘム鉄という選択肢

肉に含まれる「ヘム鉄」は、吸収率が10〜20%と、植物性の非ヘム鉄(4〜6%)より効率的に体に取り込まれます。エゾシカ肉は100gあたり3.4mgの鉄分を含み、牛肉(2.7mg)より多く、低脂質です。「同じ量を食べるなら、より効率よく鉄分を摂れる食材を選ぶ」というのは、無理なく続けられる工夫の一つだと思います。

大切なお願い

この記事は一般的な栄養情報の紹介を目的としており、診断や治療を目的としたものではありません。妊娠を考えている方、また妊娠中の方は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談の上、ご自身の状態に合った対応を行ってください。

サプリメントという選択肢

食事に加えて、サプリメントで補うのも一つの方法です。

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出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、国際的な妊娠期貧血に関する研究データ(PMC収載論文)