肌のために早く寝ているのに変わらない…「22時〜2時のゴールデンタイム」は実は関係なかった

肌のために、なるべく22時までに布団に入るようにしている。それなのに、肌の調子は思ったほど変わらない――そんな経験はありませんか?実は「肌のゴールデンタイムは22時〜2時」という広く知られた話には、根拠がないことがわかっています。早く寝ること自体は悪くありませんが、時刻を守ることが目的になってしまうと、本当に大事なポイントを見落としてしまうかもしれません。

「22時〜2時」説は、どこから来たのか

肌の修復に関わる成長ホルモンは、確かに睡眠中に多く分泌されます。ただしその分泌は、時計の針ではなく「睡眠の深さ」に連動しています。かつて日本人の平均的な就寝時刻が22時〜0時頃だったため、成長ホルモンが多く出るタイミングがちょうど深夜2時頃までに収まっていた――そこから「22時〜2時が肌のゴールデンタイム」という表現が生まれたと考えられています。つまり、当時の生活習慣をもとにした逆算であって、時刻そのものに特別な意味があったわけではないのです。

本当に大事なのは、寝入りばなの90分

成長ホルモンが最も多く分泌されるのは、入眠してから約90分後に訪れる、最初の深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の時間帯だとされています。この深い眠りは睡眠の前半に集中しており、後半になるほど浅くなっていきます。裏を返せば、何時に寝たとしても、寝入りばなにしっかり深く眠れていれば成長ホルモンは分泌されます。逆に、22時に布団へ入っても、そこから寝つけずに何度も目が覚めるようであれば、時刻を守った意味は薄れてしまいます。「何時に寝るか」より「寝入りばなの質」が重要、というのが今の理解です。

ただし「何時でもいい」という話ではありません

ここは誤解されやすいところなので、正直に補足します。成長ホルモンの分泌が時刻に依存しないというのは事実ですが、人の体には体内時計(概日リズム)があり、こちらは光や生活リズムの影響を受けます。就寝・起床の時刻が日によってバラバラだと、この体内時計が乱れ、結果的に寝つきや睡眠の深さそのものが悪くなります。つまり「深夜3時に寝ても大丈夫」なのは、毎日その時刻で安定していて、十分な睡眠時間が取れている場合の話です。時刻を守ることより、リズムを一定に保つことと睡眠時間を確保することの方が優先度が高い、と考えるのが現実的です。

睡眠不足のとき、肌では何が起きているのか

睡眠不足が肌に与える影響は、感覚的なものだけではありません。ある研究では、睡眠不足の状態では肌の水分が逃げていく量(経表皮水分蒸散量)が約30%増加したと報告されています。さらに、角質のバリアをわざと乱した後の回復率を比べたところ、72時間の時点で睡眠不足のグループは30%低かったとされています。乾燥しやすく、しかも荒れた後に戻りにくい。この二重の不利が、寝不足の翌日に感じる肌の変化の背景にあります。

コルチゾールが、コラーゲンを分解します

もうひとつ見落とされがちなのが、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールです。慢性的な睡眠不足が続くとコルチゾールが高い状態が続き、これには肌のハリを支えるコラーゲンを分解する作用があるとされています。つまり睡眠不足は、「作られにくくなる」と「壊されやすくなる」の両方を同時に進めてしまう可能性があるということです。

ネットでよく見かける疑問です:「休日に寝だめすれば取り戻せる?」

平日の睡眠不足を休日にまとめて解消しようとする方は多いと思います。ただ、休日だけ大幅に遅くまで寝ると、就寝・起床の時刻が平日と大きくずれるため、前述の体内時計が乱れやすくなります。その結果、休日明けの寝つきが悪くなり、また睡眠の質が落ちる――という循環に入りやすくなります。休日に少し長めに眠ること自体は問題ありませんが、起床時刻のずれは1〜2時間程度にとどめておく方が、リズムを保つうえでは無難です。「足りない分をまとめて返す」よりも、「毎日少しずつ確保する」方が、肌にとっても現実的です。

ネットでよく見かける疑問です:「よく眠れば、それだけで肌は良くなる?」

残念ながら、睡眠だけでは完結しません。成長ホルモンが分泌されても、肌をつくる材料がなければ修復は進まないからです。肌のハリを支えるコラーゲンも、角層をつくるケラチンも、原料はタンパク質です。眠っている間に修復が進むということは、その時間までに材料が体の中に用意されている必要がある、ということでもあります。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人女性のタンパク質推奨量は1日50gとされています。「よく寝ているのに変わらない」と感じる場合、材料の側が足りていない可能性も考えてみる価値があります。

今日からできる工夫

・就寝・起床の時刻を、日によって大きくずらさない(時刻そのものより一定であることを優先する)
・寝る前のスマートフォンやカフェインなど、寝つきを妨げるものを見直す(深いノンレム睡眠は寝入りばなに集中します)
・肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質源を1日の中で分散させて摂る
・コラーゲンの合成に関わるビタミンCを含む野菜・果物もあわせて摂る
・「22時までに寝なければ」と焦ること自体がストレスになる場合は、こだわりすぎない
・睡眠時間が慢性的に確保できない、いびきや日中の強い眠気があるといった場合は、自己判断せず医療機関に相談する

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まとめ

「肌のゴールデンタイムは22時〜2時」という話は、かつての生活習慣から生まれた表現であり、時刻そのものに根拠があるわけではありません。大事なのは、寝入りばなにしっかり深く眠れているか、そして生活リズムが一定に保たれているかです。あわせて、眠っている間に肌を修復するための材料――タンパク質――が足りているかも、見落とさずにいたいところです。時計とにらめっこするのをやめて、眠りの質と食事の中身に目を向けてみてください。

出典:ナショナルジオグラフィック日本版「2重に罪深い『お肌のゴールデンタイム』伝説」、ダイヤモンド・オンライン「お肌のゴールデンタイム『22〜2時に寝ろ』はウソ!」、睡眠プライマリケアクリニック「『睡眠不足は美肌の敵』は科学的な事実」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

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