
夜、布団に入るとなぜか脚がムズムズして、じっとしていられない――みなさんはそんな経験、ありませんか?寝ようとするとソワソワして眠れない、脚を動かさずにいられない。この症状、実は「むずむず脚症候群」と呼ばれるもので、原因のひとつとして意外な栄養素が関わっていることがあります。それが「フェリチン」です。
むずむず脚症候群とフェリチンの関係
むずむず脚症候群は、夜間に脚がムズムズして動かさずにいられなくなる症状が特徴です。日本神経学会の診療ガイドラインでは、鉄欠乏(フェリチンの低下)が、この症状の代表的な原因のひとつとして挙げられています。「なんだかよく眠れない」の背景に、実はフェリチン不足が隠れていることもあるのです。
そもそもフェリチンって何?
「フェリチン」という言葉、聞いたことはありますか?健康診断の結果表にも載っていないことが多く、実はよく知らないという方も多いはずです。体の中の鉄には、2種類の役割があります。ひとつは血液の中で酸素を運んでいる鉄(ヘモグロビン)。もうひとつは、使う前に体の中に貯めておく「貯蔵鉄」です。この貯蔵鉄のことを「フェリチン」と呼びます。イメージとしては、ヘモグロビンが「今使っているお財布のお金」、フェリチンが「銀行に貯めてある貯金」です。鉄が不足すると、体はまず貯金であるフェリチンから取り崩していきます。だからフェリチンが減っていても、ヘモグロビンはまだ正常、ということがよく起こります。
むずむず脚以外にも、こんなサインが
フェリチン低下と関連が指摘されているサインには、むずむず脚症候群のほかにも次のようなものがあります。
・疲れやすさ、だるさが続く
・集中力が続かない
・顔色が悪い、めまいがする
・抜け毛が増えた気がする
・階段で息切れしやすい
ただし、決めつけは禁物です
ここまで読むと不安になった方もいるかもしれませんが、大事な注意点があります。むずむず脚症候群も、これらの症状も、フェリチン低下以外に、睡眠不足、ストレス、他の病気など、さまざまな原因で起こり得るものです。「むずむずする=フェリチン不足」と自己判断で決めつけるのは早計です。気になる症状が続く場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
どのくらいの数値だと注意が必要なのか
日本鉄バイオサイエンス学会の基準では、フェリチン値が12〜25ng/mL未満で「貯蔵鉄の減少」、12ng/mL未満で「貯蔵鉄の枯渇」とされ、鉄剤による治療が検討される水準とされています。むずむず脚症候群については、日本神経学会のガイドラインで、フェリチン75ng/mL以下が治療を検討する目安として示されています。数値の基準は、症状や状況によって医療機関ごとに判断が変わることもあるので、あくまで目安として捉えてください。
気になったら、どうすればいい?
一般的な健康診断の血液検査には、フェリチン値が含まれていないことが多いです。気になる方は、人間ドックのオプション検査や、内科・婦人科の診察のときに「フェリチンを測ってほしいです」と伝えてみてください。それだけで、今まで見えていなかった自分の「鉄の貯金残高」がわかります。
家庭でできること
レバーや赤身肉、あさり、しじみなどのヘム鉄を意識的に食事に取り入れ、ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせることで、非ヘム鉄の吸収もサポートできます。食事だけで十分に補いきれないと感じる場合は、サプリメントで補うという選択肢もあります。
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まとめ
夜のむずむず脚、実は「フェリチン」という、健康診断の結果表だけではなかなか気づけない「隠れた貯金残高」が関係していることがあります。とはいえ、症状の原因を自己判断で決めつけず、気になる場合はフェリチン検査について医療機関に相談してみてください。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書、一般社団法人日本鉄バイオサイエンス学会 鉄剤の適正使用による貧血治療指針、日本神経学会「むずむず脚症候群診療ガイドライン2022」
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