妊娠中にビタミンB12が注目される理由

妊娠中に意識したい栄養素というと、まず葉酸を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は厚生労働省の食事摂取基準では、葉酸とあわせて「ビタミンB12」も妊娠期に意識したい栄養素として扱われています。今回はこのビタミンB12について、なぜ妊娠中に注目されるのかを整理してみます。

ビタミンB12の役割

ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球を作る働きをサポートしているほか、神経の機能を正常に保つ役割も担っています。また、DNAの合成にも関わっており、細胞分裂が活発な妊娠期には特に重要な栄養素のひとつとされています。妊活中から妊娠・授乳中まで、継続して意識したい栄養素です。

2025年版基準で変わったこと

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンB12の設定方法が変わりました。これまでは推定平均必要量・推奨量が設定されていましたが、欠乏症を回避するために必要な最小摂取量を示す科学的根拠が十分でないという理由から、今回は「目安量」のみが設定されています。数値としては18歳以上の男女ともに1日4.0μg、これは妊婦・授乳婦でも同じく1日4.0μgで、付加量(上乗せ分)は設定されていません。「妊娠中は特別に多く必要」というより、「もともとの目安量をきちんと満たしたい」という位置づけです。

実際の摂取量とのギャップ

令和5年国民健康・栄養調査によると、女性の実際の摂取量の中央値は、20代で2.5μg、30代で2.6μgと報告されています。妊婦でも2.6μg、授乳婦でも2.9μgと、目安量の4.0μgには届いていません。つまり、妊娠・授乳中かどうかにかかわらず、多くの女性が目安量を下回った状態で過ごしているというのが現状です。

不足しやすいのはどんな人か

ビタミンB12は、しじみ、レバー、さんま、牡蠣、鮭など、主に動物性食品に含まれており、植物性食品にはほとんど含まれていません。そのため、乳製品や卵も食べない厳格なベジタリアン・ヴィーガンの方や、偏食気味の方は不足しやすい傾向があります。また、胃腸の病気がある方は、B12の吸収そのものがうまくいかず不足しやすくなることも報告されています。ただし、体調の変化を「B12不足だから」と単純に決めつけるのは早計です。気になる症状がある場合は自己判断せず、かかりつけの産婦人科医に相談することをおすすめします。

家庭でできる工夫

B12は動物性食品を意識的に食事に取り入れることが基本です。しじみの味噌汁、鮭の塩焼き、レバーを使った料理などを献立に取り入れると、無理なく摂取量を底上げできます。当ブログで扱っているエゾシカ肉のような赤身の肉も、動物性食品としてB12を含む選択肢のひとつです。

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まとめ

妊娠期の栄養というと葉酸が注目されがちですが、ビタミンB12も葉酸と二人三脚で働く栄養素です。2025年版の基準では目安量のみの設定に変わりましたが、実際の摂取量調査を見ると、妊婦・授乳婦を含む多くの女性が目安量に届いていないのが現状です。動物性食品を意識した食事を基本にしつつ、気になる症状があれば自己判断せず産婦人科医に相談してください。

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

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