
これまでの記事で、鉄分不足のリスクについて繰り返しお伝えしてきました。ただ、正直に言わなければならないことがあります。鉄分は「摂れば摂るほど良い」というものではありません。今回は、鉄分の摂りすぎによって何が起こるのか、正直に整理します。
鉄には「上限」が設定されている
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」には、推奨量とは別に「耐容上限量」という数値が定められています。これは、過剰摂取による健康障害を未然に防ぐための上限です。成人女性の場合、耐容上限量は1日40mg程度とされています。日々の食事だけでこの量を超えることはほとんどありませんが、サプリメントや鉄剤を併用する場合は、この上限を意識する必要があります。
摂りすぎると、まず起こること
鉄分を摂りすぎた場合、比較的よく見られるのは、吐き気、腹痛、便秘、下痢といった胃腸の不調です。サプリメントを飲み始めてから胃が重い、便が黒っぽくなった、といった変化を感じたことがある方もいるかもしれません。これは、吸収しきれなかった鉄が腸内に残ることで起こる、比較的軽度な反応です。多くの場合、量を減らしたり、食後に服用するタイミングを変えたりすることで軽減します。
まれに起こる、より深刻なリスク
一方で、長期間にわたって鉄を摂りすぎ続けると、体内、特に肝臓に鉄が蓄積していく「鉄過剰症」という状態につながることがあります。代表的なものが「ヘモクロマトーシス」です。人間の体内にある鉄の総量は通常3〜4g程度ですが、これを大きく超えて鉄が蓄積すると、肝障害や糖代謝の異常など、複数の臓器に影響が及ぶことが知られています。ヘモクロマトーシスには、遺伝的な体質によって鉄を吸収しすぎてしまう「一次性」と、頻回な輸血など外的な要因による「二次性」があります。日本人では一次性は比較的まれとされていますが、体質によって鉄の吸収率が高い方が一定数存在することも分かっています。
「貧血ぎみだから」と自己判断で増やすのは避けたい
ここが一番お伝えしたいポイントです。「なんとなく貧血ぎみだから」「疲れが取れないから」という理由で、血液検査を受けずにサプリメントの量を自己判断で増やすのは避けてください。今の自分の鉄の状態が「不足」なのか「足りている」のか「すでに多い」のかは、見た目や体感だけでは正確には分かりません。特に、鉄を吸収しやすい体質の方が量を増やしてしまうと、必要以上に蓄積が進むリスクがあります。以前の記事でご紹介したセルフチェックリストは、あくまで「可能性に気づくきっかけ」であり、それだけを根拠に摂取量を決める材料ではありません。
サプリメントを使う場合の考え方
サプリメントを利用する場合は、パッケージに記載された用量を守ることが基本です。多くの市販のヘム鉄サプリメントは、1日あたりの鉄含有量が7〜10mg程度に設定されており、通常の食事に上乗せしても、耐容上限量を大きく超えることは考えにくい設計になっています。ただし、複数のサプリメントを同時に摂っている場合や、鉄分が強化された食品を日常的に多く摂っている場合は、合計の摂取量が想定より多くなっていないか、一度振り返ってみる価値があります。
気になる場合は、血液検査で確認を
鉄が不足しているのか、すでに足りているのかを正確に知る一番確実な方法は、血液検査です。ヘモグロビン値に加えて、貯蔵鉄の指標であるフェリチン値まで確認すれば、「足りていない」のか「もう十分」なのかを客観的に判断できます。特に、サプリメントを長期間続けている方や、鉄分を意識した食生活を続けている方は、体調に大きな変化がなくても、定期的に血液検査で状態を確認しておくと安心です。
【PR】用量が明確に管理されたサプリメントを選ぶことも、摂りすぎを防ぐ一つの方法です。
【PR】DHC ヘム鉄(徳用90日分):Amazonで見る / 楽天で見る / Yahoo!で見る
まとめ
鉄分不足のリスクは決して軽視すべきではありませんが、「足りないなら、とにかく多く摂ればいい」という考え方も、また正確ではありません。バランスの取れた食事を基本としながら、サプリメントは用量を守って使う。そして気になる場合は、自己判断ではなく血液検査で確認する。それが、鉄分と長く付き合っていくための、一番誠実な向き合い方だと思います。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、済生会「ヘモクロマトーシス」、日本消化器病学会関連情報、健康長寿ネット「鉄分の働きと1日の摂取量」

コメントを残す